佐野元春 ディスコグラフィー 付録
主にユースのためのディスコグラフィー用語解説
- アナログ盤
- ポリ塩化ビニール製のディスク状の記録媒体。
外周から内周に向かって渦巻き状の1本の細い溝が刻まれていて、回転する盤の溝に直接針を接触させてその振動をアンプで増幅して音に変える(CDは内から外、読み取り装置とは非接触)。
ほとんどすべての盤は黒色。
CDと違って再生時の回転数は常に一定のCAV方式。
外周部分と内周部分の線速度(針の通過スピード)が違うために外周部分のほうが音が良く内周部分は歪みやすい。
そのために盤の中心付近は記録には使わずにレーベルを貼るスペースとして使う。
アナログ盤という呼び方はデジタル方式のCDに対してのもので、CDの登場以前は「レコード盤」や単に「レコード」と呼んでいた。
- A面・B面
- アナログ盤は裏表の両方が記録面となっていて、それぞれをA面・B面と呼ぶ。
Side-A・Side-Bも同じ意味。
端的に言えば勿体ないので(ソノシートを除いて)片面だけを利用するということはほぼありえない。
シングルでは両A面ということにするとランキングチャートなどでタイトルが並記となる。
両方がタイアップ曲である場合などに都合が良く、両A面の言葉や慣習は片面しか使わなくなったCD時代になっても残った。
- アルバム
- 複数の楽曲を集めた作品集のこと。
アナログ盤時代にはLPと同義だった。
おそらく製造コストとの兼ね合いでどうせ作るなら両面合わせて最低10曲前後というのが暗黙の了解だったが、CDのプレス単価が数十円の昨今では曲数にこだわる必要は無くなり、何曲であろうとレコード会社やアーティストがアルバムと決めればアルバムとして流通する。
- シングル
- アナログ盤時代にはEPと同義だった。
本来は1曲だけの商品のことだが、アナログ盤時代からの慣習でB面におまけを1曲入れて合計2曲というのが普通。
B面曲は飽くまでもシングルのおまけであり、A面曲のタイトルが表題としてカタログやチャートのデータなどで取り扱われる。
CD時代になるとマキシシングルなるものも登場するため、「何曲収録であろうと1曲をフューチャーしてその曲を表題に使い一番最初のトラックに収録したものがシングル」と考えられるようになるが、通常はリミックスやカラオケなども含めて3〜4曲以内のものがシングルに区分けされる。
- LP盤(えるぴー)
- アナログ盤の一種。
「Long Play」の略で単にLPとも呼ばれる。
直径30cm(≒12inch)に片面30分程度の記録が可能で、毎分33と1/3回転で再生する。
- EP盤(いーぴー)
- アナログ盤の一種。
「Extended Play」の略で単にEPとも呼ばれる。
直径17cm(≒7inch)に片面5分程度の記録が可能で、毎分45回転で再生する。
たいていは片面に1曲収容なのでシングル盤と呼ばれたり、ジュークボックスで扱いやすいように中心の穴が大きく開けられていることからドーナツ盤とも呼ばれる。
欧米ではCDでもEPという言葉は使われていて、おおよそ日本のミニアルバムと同じ意味。
佐野元春の場合、「The Sun Studio Edition - EP」という6曲入りのアルバムがiTunes Music Storeでリリースされた。
- 12" single(じゅうにいんちしんぐる)
- アナログ盤の一種。
LPと同じ大きさの盤にシングル的な内容を収録し、毎分45回転で再生する。
レコード店などで12インチと言えばLP盤ではなく12インチシングルのことを指す。
通常のシングルよりも長めの曲が収容できる他、高音質で歪みの少ない記録が可能というメリットがある。
- オーディオカセットテープ
- 単にカセットテープやカセットととも呼ばれる録音と再生が可能な小型の磁気テープ。
正式名称はコンパクトカセット。
MD登場以前のポータブルオーディオの記録媒体の主流だった(いまやそのMDもシリコンオーディオにシェアを奪われつつあるが…)。
佐野元春が最初にCM出演をしたのもTDKのカセットテープのCMだ。
かつてレコードプレーヤーを含むオーディオコンポは高価だったので、最初からラジカセやカーステレオで聴ける録音済みテープ商品の需要は多くあり、LPと同時にカセットテープ版もリリースされるものが多かった。
※当ディスコグラフィーのデータ表では録音済みカセットテープ商品は「TAPE」と略記する。
- レーベル
- レコード会社のトレードマークロゴをあしらったアナログ盤の中心部に貼られる丸い紙のこと。
転じてレコード会社そのものやレコード会社の中のブランドを指すようになった。
「label」すなわちラベルのことだが、レコード関係に限ってはレーベルという言い方しかしない。
- c/w(かっぷりんぐ・うぃず)
- シングルのカップリング曲、すなわちB面収録の曲やCDのシングルならトラック2以降の曲のことで、「coupling with」の略。
なぜに間に「/」を挟むのかは昔からの謎。
- rpm(あーるぴーえむ)
- 「revolutions per minute」の略で1分間の回転数の意味。
「r.p.m.」や「RPM」でも書かれる。
一般的なアナログレコードプレーヤーは45rpmと331/3rpmの2種類の速度に対応していて、再生を始める前にユーザーが手動で切り替えを行う。
理論上、回転が早い = トレース量が多いほど音は良いが、針圧の調整はシビアになる。
- マキシシングル
- 直径12cmの通常サイズのCDにシングルを収めたもので、8cmのCDシングルと区別してこう呼ぶ。
マキシでも通じる。
Wikipedia英語版の解説によると欧米では1980年代にアナログ盤の3〜4曲入りの12インチシングルがマキシシングルと呼ばれるようになったと書いてある。
CDについてはErasureというアーティストが1988年に3曲入りの5" CDを「Maxi single CD」とジャケットに印刷してミュートレコードからしばしばリリースしたとあるが、これが最初のマキシCDであるかどうかは不明。
初出: 2005.11.01
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